同志社大学とグンゼ株式会社による、学生ならではの新しい視点を活かしたレッグウエアの開発提案。
同志社大学と同志社女子大学の学生が集まり、1年間マーケティングの実際を学んでいきます。
2016年春夏のレッグ商品、同年秋冬のレッグ商品と2回、メーカーに学生が直接提案できるチャンスがあり、優れた案は、実際の商品化を前提に検討されると聞き学生たちも真剣な表情で取り組んでいます。
場所は同志社大学 京田辺キャンパス 同志社ローム記念館の一室。
ここで学生たちと企画アイデアづくりを行いました。
洛林舎はマーケティングの基礎知識の講習とアイデアづくりの実習、プレゼンテーション支援などを担当。
そこは最近の大学生。飲み込みも早く、またSNSやadobeのグラフィックソフトなども使いこなし
まさに「今ドキ」なコミュニケーションの中でアイデアが創出されています。
学祭でのリサーチ現場でも、アンケート対象者への積極的なアプローチをする学生たち。
自分たちの頭の中でしか作れなかったアイデアの限界を打ち破るためにも、非常に効果的であったようです。間もなく第2回の提案機会が近づいています。
学生たちのアイデアを形にする、今までにないプロデュース活動の中で、洛林舎も大いなる「学び」を経験しています。
母校の壁に刻まれたこの言葉。
新島襄の愛誦句です。
当時は目を向けることもなく過ごしてきたけれど
時が長く過ぎた今に、こうして再び心動かされる言葉の力。
神戸女学院の内田樹教授は、いつでも帰ることのできる場所として
大学という地を定義付けています。
奇しくも、神戸女学院、同志社ともにヴォーリズ建築。
素晴らしい建物とともに過ごした記憶を大切にしたいと思う。
そして、無為に過ごしてしまった学生生活への悔恨を抱きながら
これから此処に自分なりの恩返しをしていこうと考えています。
ちなみに
VERITAS LIBERABIT VOS
「真理を追究することで、現状を突破することができる。」
そのように解釈しています。そう、ひとつのデザインが、諸問題を突破する力をもつように。
能登半島にある七尾市は長谷川等伯出自の地。
そこで東京国立博物館に所蔵されている国宝「松林図」の使用許可を得て
等伯ラベルのお酒をつくることになりました。
Branding Designで紹介しています。
あるBARをこよなく愛する人がいました。
その店のマスターのことを尊敬して止まない人です。
もうすぐ50年になろうとする老舗のBAR。
昭和の香りを今に残す希少なBARと称してもいいでしょう。
そのBARの姿を写真集に納めて、マスターにプレゼントする。
そう思いついたその人が相談に来られたのが洛林舎。
個人でつくる写真集。
もちろん予算にも限りがある中で
カメラマン、アートディレクター、印刷会社の方まで
その人の思いを共有し、ひとつのチームになって
力を集めて、一冊の写真集に象形させました。
これもcurationです。
効率よい印刷方法、製本も手作業で傷みを減らす。
それぞれの立場で工夫を凝らしていくプロの所作。
いい写真集ができました。
Editorial/Book Design ですこしだけご紹介します。
奥能登最古の酒蔵が、昨年生み出した最新(?)のトンネル貯蔵蔵「隧道蔵」
湿度、温度が年中一定で日本酒を熟成させるのに好環境なトンネル内
で、まるで専用のセラーを持つように、自分好みに日本酒を熟成できるもの。
ここでは蔵元が専用ラベルで、その貯蔵酒を販売しています。
「宗玄 隧道蔵」
2013年の吟醸酒はすぐに完売になったということ。
北陸以外ではなかなか手にすることのできない銘酒となっています。
能登の書家とのコラボレーション。
蔵元の思い。そこに集まる力をうまくつなぎ合わせ、新しい価値を生み出す。
「キュレーション・プランニング」だと洛林舎は考えています。
<詳細はBranding Designをご覧ください>
奥能登にある小さなトロッコ鉄道「奥のとトロッコ鉄道」。地元の有志が集まり地域活性化のために、廃線跡地にもう一度線路を敷設して、足こぎ式トロッコを走らせたもの。トンネルの中では、年中一定の温度・湿度環境を活かし日本酒の熟成を行っています。(北陸初)。事業構想をお聞きして、まずは事業ネーミング。そして、ロゴデザイン。親しみある「のトロ」と命名。同名のキャラクターも開発し、鉄道関係、日本酒関係の各種ツール作成のお手伝いをしました。<詳細はBranding Designをご覧ください>
10月31日より11月4日まで、東京ミッドタウンで今年のグッドデザイン賞受賞作品の展示が行われました。「のトロ」もこのような形でディスプレイされており、「街づくり」部門のなかでも癒し系代表のような存在感。テーブル下にはパンフレットを置きました。これをきっかけに能登を訪れる方がたくさんいらっしゃることを期待しています。
主に海外企業向けに関西進出を誘う誘致パンフレット。
日英2冊を同時並行で作成。
行政と外資系企業への取材・撮影・編集作業も行いました。
<詳細はEditorial/Book Designをご覧ください>
キョクトウ・アソシエイツ様の「かんがえる学習帳」が2012年度グッドデザイン賞を受賞いたしました。
洛林舎発足の時から商品企画に携わり1年以上の開発期間を経て世に生み出した、思い入れたっぷりの商品です。
写真家の交渉、カラーユニバーサルデザイン認証取得、ユニセフとのやりとり、教育者と共同で作成した
学びのコンテンツづくりそして62種類のノートデザイン。
そのすべてが評価されたのだと、嬉しく思います。
お子さんをお持ちの皆様、ぜひ「かんがえる学習帳」をお買い求めください。
きっと情緒豊かなお子さんに育ちます!
11月23日〜25日 東京ビッグサイトにて開催されます
グッドデザイン賞受賞発表展「GOOD DESIGN EXHIBITION」にノート62種類全商品を
展示いたします。ぜひ会場にお越しいただき、ノートを手に取ってみてください。
細部まで丁寧に心を込めてデザインしました。 会場でお会いできるかもしれませんね。楽しみです。
10年ぶりに全面改訂された小学生むけ学習帳をプロデュース。
プランナー、デザイナー、アートプロデューサー、教育者による
プロジェクトチームを編成。岩合写真事務所、日本ユニセフ協会
NPOカラーユニバーサルデザイン機構とのコラボレーション推進
、商品企画、コンセプトメイク、デザインまでを担当しました。
<詳細は、Branding Designをご覧ください>
大切に思う方々から色んなお話をいただいています。
その度に思うのは、今まで一緒にやってきた仲間となら
たいていのことはできる、ということ。
潮目を見ながら、少しだけ俯瞰する気持ちを忘れずに
新しい課題に向かっています。
お話をいただく担当の方と一緒に
大きな視点で問題解決する。それこそが
「プロセスをデザインする」ということだと思います。
→ こんな仕事できる? 一度聞いてみたいと思っていただけたなら
お問い合わせフォームからお気軽に問い合わせください。
サロンヘアケアの最上級ブランドづくり。プロジェクト形式で「上質とは?」「日本女性に特有の美しさとは?」など価値規定のためのミーティングを重ねた。プロダクトデザイン、タグライン開発、プロモーションツール、サロン空間デザインまで多方面に展開。 Cl:ミルボン Design:TCD ※TCD在籍中のArchive
女性パティシエのヒアリングから。
「クッキーは粉と砂糖と油分で簡単に作れるもの。でも素材を選び生クリームを入れたりすると途端に焼き加減が難しくなる。」
しっとり柔らかい口当たりのクッキーにしたかったというパティシエの言葉は、今を懸命に生きている同世代の女性たちへのメッセージに聞こえました。
「ビスキュイ・ムー」
MOUとはフランス語で柔らかいという意味。
製法的にはケイクに近いということでしたが、分厚く丸い仕上がりイメージにBisQuitという言葉を当てはめて。
また主にヨーロッパから取り寄せた素材を集めて作る4つのフレーバーは、まさに「旅する気分」で味わってほしい。
これまで和文を使ってこなかった商品名に、敢えての「違和感」をタグラインとして付記。
見た目も味もやさしい商品ですが、これまでにない仕掛けがいくつもあるものとなっています。若きパティシエや店頭で販売に携わるスタッフの思い。それをデザインできたことを嬉しく思います。
CL:アンテノール
Naming/planning/logo design :洛林舎
次世代コンテンツ配信システムのネーミング。P2P方式で動画配信が安全で低コストで行える技術・サービス名称。脳の細胞(シナプス)が互いにつながり信号を送るイメージから、ユニークで革新的な存在であったアインシュタインの脳をテーマにした。Einyとはアインシュタインの子どもの頃の愛称である。 Cl:ブラザー工業 Design:TCD ※※TCD在籍中のArchive
蓄光避難誘導標識のネーミング。蓄光式で停電時などに、従来よりも長く光り避難誘導する機能をもつというもの。ユニークでしかも企業協賛型の商品特性から覚えてもらいやすい、ひらがなネーミングとした。 Cl:株式会社リソウズ Ag:電通関西支社 Design:TCD ※TCD在籍中のArchive
ディスカバージャパン、ナイルズ等雑誌広告 Cl:ホテルグランヴィア京都 Design:TCD ※TCD在籍中のArchive
小学校の教育現場で使用される学習帳ブランドに必要なもの。
学習指導要領に準拠することはもちろん、子どもたちの意欲
向上につながるものを。指導者にとっては使いやすく、保護
者には成長の証となるものを。さまざまな立場での信頼度を
高めるために、「かんがえる学習帳」は新しいことに挑戦を
しています。
<表紙の写真>
子どもたちを引きつける表紙の動物写真は岩合光昭さん
今回のノートは科目別カラーを採用し全6色展開に。
日本人男性の20人に一人が色弱であるという中、多
色展開するノートが、きちんと誰もに見分けがつくよ
うにするカラー計画を実施。カラーユニバーサルデザ
イン機構と共に複雑なカラー設定を実現しました。
子どもたちにとって、学びにダイレクトに関わるノート
内のコンテンツ。自分で書き入れることで気づきを誘導
するもの。読み物としてさらなる興味を引き出すもの。
小学校から始まっているキャリア教育に対応したもの。
新しいノートを開く楽しみを創造しています。
CL:キョクトウ・アソシエイツ
ブランドアーキテクト&デザイン:洛林舎
「カラーユニバーサルデザイン」に興味のある方は
お気軽に問い合わせフォームから、ご連絡ください。
ベルギー王室御用達のショコラティエ「ヴィタメール」 ブランドの価値規定から調査、パッケージデザイン、プロモーションツールの製作、SHOP空間まで統合されたイメージングを実施 →ヴィタメールサイトへ Cl:ヴィタメール・ジャポン Design:TCD ※TCD在籍中のArchive
エネループ電池を使った「使い捨てない」カイロ。桐灰化学とサンヨーのコラボレーション商品。店頭でいかに訴求するかを念頭に、パッケージから商品ネーミング、ブランドポジショニング、什器販促ツールまでを作成した。 Cl:桐灰化学 Design:TCD ※TCD在籍中のArchive
名古屋イノアックの総合展示会。日本で初めてウレタンフォームを生産した高分子化学製品メーカーであるが、その領域は多岐に渡る。そのユニーク且つ多様性に溢れた製品群を効果的に展示することが目的であった。 Cl:イノアック・コーポレーション Design:TCD ※TCD在籍中のArchive
深夜特急写真展 企画運営、会場設営、専用ウエブサイト制作 Cl:阪神電気鉄道 Space Design:TCD ※TCD在籍中のArchive
Bar YANAGASE
size 190×235mm
cover(折り返し、表面ニス引き)+12P 中綴じ製本
paper:ヴァンヌーボ・スノーホワイト
Not for sale
Barstory:RAKURINSHA
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「もし僕らのことばがウイスキーであったなら」
村上春樹はそう語った。
異人館を左手に、すこし険しい坂をのぼる。
ならび合った料飲店もなくなり、通りが寂しくなる頃
そのBARは突然その姿をみせる。
重い木の扉を押しあける。
扉のベルが鳴り止むと、そこは静かな空間に戻る。
カウンターに座り一息つけば、背中が温かいことに気付くだろう。
そう。このBARには暖炉があるのだ。
櫻の木で作られた薪が香り高い火をゆらめかせている。
シングルモルトをオーダーする、いつものように。
ウイスキーの蒸留所で有名なアイラ島が
シングルモルトの聖地のように
このBARは自分にとっての聖地と呼んでいい。
磨かれたカウンターに北欧製のランプシェードがうかぶ。
薪火のはぜる音が聞こえる。
若手バーテンダーが音もなくカウンターをくぐり出て
背後の暖炉に薪を足した。
カウンターに立つバーテンダーたちに暖炉の火は見えない。
シェードに映り込む火の勢いと、音が頼りなのだとマスター。
五感で感じることに、こころ委ねていけば
ここはひとつの宇宙だ。
ウイスキーだけが饒舌になる。
自分の立ち位置、考え方、生き方をここで改めて見直したいと思った時に出会ったキーワード「SDGs」。あるNPO団体の活動で、ソーシャルイベントのレポートを書いている。その抜粋から。神戸大学大学院工学研究科教授 喜多隆(きたたかし)氏の登壇。
今年2月から神戸大学のSDGs担当学長補佐になりました。まずは神戸大学のSDGsに対する取り組みからお話したいと思います。5つの柱があります。
(1) 新しい技術・産業・社会の創出
(2) V.スクール:携帯電話がスマートフォンに変わったように、昔からあった技術を少し視点を変えることでイノベーションを起こす。そんな価値創造がどうやって生まれるか、それを研究していこうというものです。
(3) 国際協力:64各国373大学と学術交流協定を結んでいます。
(4) 地域/自治体との連携:スマートシティ、水素の話、地下街の空調AIなど、町の作り方を自治体と一緒に考えていくようにします。
(5) 学生アンバサダー:インターンシップとして取り組んでもらっています。
*日本のエネルギーの状況
日本のエネルギー問題を見通すための、3つのポイント。
SDGsについてまなぶ<3>。
自分の立ち位置、考え方、生き方をここで改めて見直すことをしたいと思った時に出会ったキーワードが「SDGs」。あるNPO団体の活動で、ソーシャルイベントのレポートを書いている。その抜粋から。
神戸市水道局から児玉さんにお越しいただきました。SDGs6「安全な水とトイレを世界中に」のテーマで、知られざる水道についてのあれこれ、さらには持続可能な水の管理や衛生についての神戸市の取組みについて詳しくお話を伺うことができました。
児玉さんはこれまで街づくり、交通事業、病院事業などの公益事業に携わってきた経験があり、現在勤める水道局での事業も税金で賄っているのではなく、料金だけで成り立っていると自己紹介を始めました。
自身が担当してきたこれまでの業務内容と水道事業を比較して1)地域独占、2)資産共有(住民の敷地内に給水施設を敷いていて資産を共有している)、3)水源や水の配り方は全国の水道事業によってさまざまで比較できないことが違いだと挙げています。そんな水道事業についてセミナー参加者にクイズが出されました。
ではここで問題です。神戸の水道料金は全国的にみて高いか安いか。
SDGsについてまなぶ(2)
あるNPO団体の活動から、ソーシャルイベントのレポートを書いている。その抜粋を紹介。セミナー参加者の意識も高く、毎回刺激を受けている。
神戸ソーシャルセミナーwith WHO神戸センター 茅野龍馬氏
12月二人目のスピーカーとしてお迎えしたのは、WHO神戸センターで健康危機管理担当医官として働く茅野龍馬さんです。SDGs3「すべての人に健康と福祉を」をテーマに、参加者との間でWHOの仕事とSDGsについてインターアクティブに話し合う場となりました。
茅野さんは、国際保健という観点から「なんでSDGsが生まれたのか」「その前にあったMDGsから世界がどう変わって、今我々はSDGsをどうして目指しているのか」についてわかりやすい言葉で解説を始めていきます。
*WHOの2018,2019年のテーマはUHC(ユニバーサルヘルスカバレッジ)
これはすべての人に適切な質の医療を適切な価格で届ける、という意味です。これを世界中の国に届けることがSDGsのキモになると我々は考えています。
*WHOが掲げている3つの目標。
1)10億人のUHC 、2)健康危機から守る(感染症のアウトブレイク、災害などから人々を守る)、3)健康増進(高齢者、障害者など)
*WHOの組織について
各国に保健省を支援する形で存在している組織が世界中で150箇所くらい。ただ、日本やアメリカ、西ヨーロッパにはその組織はありません。なぜかというとそれらの国はWHOの助けが途上国ほど必要ではないからです。それらの組織を6つの地域に分けて束ねて、全体を統括しているのがスイス・ジュネーブにあるヘッドクォーター(本部)です。
ではここ神戸センターはどんな役割をするかと言えばちょっと特殊な組織でして、世界で唯一のWHOの政策研究をするセンターです。UHC/高齢化/健康危機管理についての政策を作っていくための研究をするところになります。
*SDGsを考える上でのキーワード「グローバルとインターナショナルの違い」
グローバルとは地球のこと、そこに国境は関係ありません。インターナショナルというのは国際。いい翻訳ですね。国があって国境があってそれぞれの利害関係を調整しながらその「際(きわ)」を考える。このグローバルという言葉の意味を考える必要があります。
*グローバル化している「経済」、していない「保健」
経済は今ほぼ世界中で繋がっていると言えます。どの国にいっても経済活動をある程度同じルールでできるようになっていて、日本人が外国で会社を作ることもできる。その意味で経済はグローバル化しています。でも保健領域はグローバル化していません。国に貧富の差があり、貧しい国に対して富んでいる国が保健の問題で補填することはないのです。
2000年はMDGs が生まれた、大きな意味を持つ年です。経済成長で国家間に大きな格差が生まれた中で、先進国を中心とした世界のリーダーが、世界の問題は自分たちの問題として考えて底上げしていこうと初めてサミットで話し合いました。その結果、開発分野における国際社会共通の目標(ミレニアム開発目標)ができたのです。
そうして掲げられたMDGs目標8つのうち、3つが保健領域です。「幼児死亡率の削減」「妊産婦の健康改善」「HIVマラリア結核などの蔓延防止」
WHOはこの取り組みの中で、GAVI(ワクチンと予防接種のための世界同盟)を作りました。ワクチンが高くて買えずにそのせいで死んでいく子どもたちがたくさんいることから考えられたシステムです。お金を持っている国や人からたくさんお金を集めてワクチンを買って、配る。単純にそれだけです。その仕組みを21世紀に初めて作ったのがGAVIなんです。
また世界エイズ・ 結核・ マラリア対策基金(グローバルファンド)もこの時創出されました。
これらの取り組みの結果として2002年に30万人ほどしか行き渡らなかったエイズの薬は、たった6年で400万人に届くようになりました。これが公衆衛生の力です。政策を変えることによって社会を変えることができるのです。それは、エイズ・結核・マラリアという3大感染症から2000万人の人を救ってきたのです。
格差があっても、そこに富を再分配する仕組みがあれば、食べ物や水や薬がなくたくさんの人が死んでいた状況を変えることができる。それが可能になったのが、MDGsの生まれた21世紀初めのこと。MDGsは結構がんばって達成してきたのだと思います。
*MDGsからSDGsへ
SDGsについてまなぶ。
自分の立ち位置、考え方、生き方をここで改めて見直すことをしたいと思った時に出会ったキーワードが「SDGs」。あるNPO団体の活動で、ソーシャルイベントのレポートを書いている。その抜粋から。
NPOまなびと理事長中山迅一さんからSDGs4「質の高い教育をみんなに」をテーマにお話を伺いました。
「まなびと」は神戸を拠点に地域の学び場づくりに取り組んでいる団体です。これまでどんな「学び」が生み出せたのか、どんな思いで活動されてきたのかを知りたいと会場に集まった参加者の視線にすこし気圧された様子の中山さんは、静かに話を始めていきます。
教育と地域の関係性
教育には携わろうと思っていたが教師になりたかったわけではありません。この道に進むきっかけはひとりの中学生との出会いです。塾にやってくるこの中3の生徒はいつまでたっても中学1年の英語のレベルを超えることができなくて、毎回同じ内容を数ヶ月教えることになり困惑しました。そのときの気づき。塾で教える1時間。それは1週間を時間に換算した1/168でしかない。問題は残りの167時間にあるのではないか。つまり授業を受ける1時間以外の残りの時間にその子を変えるきっかけがある筈。それを考えた時に頭に浮かんだ言葉が「地域」だった。地域をうまく回すことができると世の中も変わっていく、そんな予感がしました。
日本語が話せない在日外国人「せんせい さみちい」
ベトナム人の女性がいました。実はわたしが3年前に日本語を教えていた女性でしたが、再会した時Facebookで送ってきたメッセージが「せんせい さみちい」だったのです。3年経ってもひらがなでこれだけ。そして友だちもいない状況にこれまで教えてきたことはなんだったのかと考え込んでしまいました。彼女の抱える問題は、うまく日本語が話せないから日本人の友だちができない。そうなると日本語を話す機会に恵まれず上達もしないという悪循環に陥っていたこと。もしここで教師の立場なら日本語を勉強させることを考えるのだろうけど、地域で活動している自分は違う方法を思いついたのです。「日本語なんか話せなくても友だちはできる」そう彼女に声をかけて、外国人と話してみたい日本人の学生たちを集めて一緒に勉強する場をつくったところ、自己紹介を互いにできる機会が増えてとても楽しそうな時間を過ごしてくれたのです。そこで気づいた事は「教育は新しい可能性を与えてくれる。今の自分にはない可能性を開いてくれるものだ」。そして「地域の役割は、その人にしかない可能性を大切にしてくれる場」ではないか。だから「地域の役割はその人を受け入れることにある」と考えるに至ったのです。
*地域という場づくり、まなびとの誕生
そこでわたしは勉強で行き詰まった子どもが何につまずいているのか今興味をもっていることはなんだろうと、抱えている問題点に出会える場所を、コミュニケーションができる場をつくりたいと思ったのです。塾ならば先生と1対1だけれど、地域ならそこでいろんな人と関わらせることができるので、その人の中に眠っている可能性を開かせるチャンスがあると思い活動をスタートしました。教育機関の外側で地域に住む人が自分のこと、地域や社会のことを学べる場をつくろうと思い、そうしてNPOを立ち上げたのが29才の時です。
学生生活・国際交流センターサイト。一番学生に近い部署として、サイトから情報発信することで、逆にFace to Faceのコミュニケーションができるように意図して作られた。→URLはこちら Cl:神戸女学院大学 Design:TCD ※TCD在籍中のArchive